かにみそにっき

作家。美術書などを中心に、本・絵本・映画についてのメモ。

デビッドボウイ

1/11 デヴィッドボウイが亡くなくなりました。 勝手に、あと20年いや30年は生きている存在だと思っていました。 初期のベストアルバム1枚と、「Space Oddity」しかきいた事がないので 到底熱心なファンとはいえませんが、それでもここまでショックが大きい …

智恵子抄

智恵子抄 彫刻家であり詩人の高村光太郎が綴った詩集です。 父親は彫刻家として有名な高村光雲(「老猿」という猿の彫刻が有名)。 国語教科書的には、「僕の前に道はない」の「道程」が有名な光太郎*1 ですがこの智恵子抄は妻・智恵子と結婚する前から彼女が…

献灯史

多和田 葉子の本を初めて読みました。 表題作『献灯史』は、年相応の衰えを持ちながらも老人世代が現役で活躍し その曾孫に当たる若い世代は虚弱で老い先の短いディストピアが舞台。 世界中が鎖国し、日本では外来語が次々と禁止され昔(=読者にとっての現 …

やがてこころの底ふかく沈んで 「考えの整頓」の感想。

NHKEテレのピタゴラスイッチや、2355,0655でおなじみの クリエイターの佐藤雅彦さん。(2355って何?という方は今すぐ検索!) この本は、彼が暮しの手帖で連載している「考えの整頓」というコーナーが 書籍化されたものです。(2014年4月現在も連載は続いて…

天風浪々 絵と書の対話 を読みました。

天風浪々―絵と書の対話 書家の榊莫山と、画家の元永定正の対談本です。 両人とも近年亡くなられております。 榊莫山の方は、僕はあまり詳しくないのですが 元永定正の方は大がいくつついてもおじけづかないほど好きな作家です。 (もこもこもこ、などの絵本…

人間は言語創造するいきものだ 記号論への招待

記号論への招待 という本を読みました。 我々が普段用いている記号の中で最も身近なものであり、決して切り離すことの出来ない “言語”を主な題材として記号の持つ役割、性質を読み明かしていきます。 膨大な記号論への旅に我々を誘ってくれるとても面白い本…

創造する人達への愛の鞭 ブルーノ・ムナーリ 芸術家とデザイナー

ブルーノ・ムナーリは多彩な顔を持った作家です。 画家、グラフィックデザイナー、絵本作家、芸術家、詩人etc...... 後期未来派の1人、なんて説明されても、 「派?は?」 てな感じでしょうが、 “暗い夜に”,“霧の中のサーカス” などといった絵本作品は 知っ…

褒め上げ映画批評 ミニミニ大作戦(1969年版)

ブログの書き方も忘れるほど。半年振りの更新です。 =あらすじ= 刑務所から釈放されたチャーリーの元に、大規模な強盗計画が渡された。 イタリアトリノに輸送される金塊を、渋滞にまぎれてかっさらう! 選りすぐりのメンバーと、逃走用のバス、ワゴン、そ…

褒め上げ映画批評 悪魔のいけにえ

テキサスの田舎に帰郷した5人の若者が、人の皮をかぶったレザーフェイスに襲われる。 スプラッター映画の元祖として、今も人気の高い悪魔のいけにえ。 ストーリーはあってないようなものですが、ざらついた映像が醸しだす不気味さは、 今見てもゾクッときま…

褒め上げ映画批評 ニューシネマパラダイス

ある夜、男の元へ母親から一本の電話が来る。 「アルフレッドが死んだ」 男はベッドで少年時代を回顧する……イタリア南部の田舎町。少年トトは、映画好きの元気な少年。 父親を失った彼にとって、パラダイス座の映画技師アルフレッドが 友人であり、父親であ…

褒め上げ映画批評 ダーティーメリー、クレイジーラリー

アメリカンニューシネマの臭いが漂う、走って逃げる爆走映画。 レーサーの夢を挫折した男が銃を使わないスマートな強盗を行い、 大金を手にするが、こっそり車に乗り込んでいたラリーにより 逃亡計画は少しづつ狂いだす…… ただ走る。ストーリーなんてあって…

映画-八日目の蝉-とディープエンドオブオーシャン。

劇場最新作、観てきました。 ちなみに、原作は未読です。 〜あらすじ〜 ある夫婦の元に産まれた赤ん坊の恵梨菜。 彼女は、父親の不倫相手に誘拐され4年間、その女性の下で育てられます。 やがて女性は身元がばれ、逮捕されるのですが、 恵梨菜は今まで誘拐犯…

コヤニスカッツィ

“ゴッドファーザー”の監督、フランシス・フォード・コッポラ監修による 7年の歳月をかけた、ドキュメンタリー映画。 コヤニスカッティとはホビ族の言葉で、「均衡を失った世界」 この映画は、音楽と映像のみで構成されています。 ゆえに内容は非常に漠然と…

こっけいな いんちきな くるった あそび 映画-ファニーゲーム-

僕が映画で一番嫌い“お約束”は、 何かくる!と思わせて、勘違いだった、と思わせてやっぱりきた! な肩透かしを挟んで油断させるドッキリです。 例をあげると、有名なSF映画“エイリアン”。 宇宙船の中でエイリアンから逃げ、倉庫(だったかな)に隠れるシー…

映画-バスキア-

バスキア [DVD]ジャン=ミシェル・バスキアを知っていますか? ニューヨク生まれのグラフィティ(落書き)のような絵で一斉を風靡し、夭逝した画家です。 これは本の表紙ですが(クリックするとamazonに飛びます)、こんな感じの絵をたくさん描いています。 …

月刊美術手帖を読む 〜vol62 2010年 12月〜

特集 コンセプトを知る、楽しむ、買う!最新デザイン・キーワード100 OPビジュアルに田部美華子さんを挟んでの 各コンセプトごとに最新デザインを紹介。 割と手頃な価格で手にとれる少数生産ものから、 社会に幅広く浸透しているものまで、幅広く、 そ…

瞬きから生まれた映画-潜水服は蝶の夢を見る-

あらすじ 雑誌編集長のジャン=ドミニク・ボビーは、ある日ドライブの途中で意識を失い、昏睡状態に陥ってしまう。 長い眠りから覚めた彼は、原因不明の全身麻痺“ロックトイン・シンドローム”にかかり 潜水服を着ているように、一切の身動きがとれなくなり声…

やるせない孤独 -真夜中のカーボーイ- 

あらすじ テキサス生まれのジョー(ジョン・ヴォイト)は、カーボーイ姿に扮して、 憧れの都会、ニューヨークに出てきた。しかし都会の人間には誰にも相手にされず、 街を彷徨っていた。そんな時、足が不自由なラッティ(ダスティン・ホフマン)という男と出…

舐めてました。面白かったです。 映画“明日のジョー”感想

まず映画を語る前に僕の立場を。 ・原作は好きな漫画ベスト5に入るほど大好き。 ・特番等は一切見てません。 ・細々とした情報だけで、ケチつける気満々で観に行きました。 あらすじ(goo映画より引用) 昭和40年代、東京の下町で殺伐とした生活を送る矢吹…

月刊美術手帖を読む 〜vol62 2010年 7月〜

特集は奈良美智 いつでも旅の途中 セラミックワークに挑戦した奈良さんに対するロングインタビュー。 奈良美智―ナイーブワンダーワールド (別冊トップランナー) という10年前に出た本を持っているのですが、 今回のインタビューは、その時より言いたいことが…

腹立たしい駄作ではなく、勿体無い凡作 映画RED 感想

今年は劇場でたくさん観ますよ。ということで、 BECK以来の公開後すぐの鑑賞。 ちなみに予告編とか一切みないで観に行きました。 タイトルにもありますが、勿体無い凡作というのが正直な感想です。 若干ネタバレを含みますのでご注意を。 (ストレートすぎる…

月刊美術手帖を読む 〜vol62 2010年 4月〜

特集はディック・ブルーナの謎 ミッフィー(うさこちゃん)の産みの親、ディック・ブルーナ。 彼の愛らしい作品は絵本という分野だけでは語りきれない魅力があります。 ブルーナという人間を紐解いていく事により、様々な謎が解明されていきます。 絵本を描…

月刊美術手帖を読む 〜vol62 2010年 3月〜

美術手帖 2010年 03月号 [雑誌]posted at 2011.1.18美術出版社Amazon.co.jp で詳細を見る 特集は森村泰昌 20世紀へのポートレイト 歴史上の偉人達になりきる、何者かへのレクイエムシリーズが2010年に完結。 彼のコメントと共に、作品を通して20世紀を振り返…

シチリアより愛を込めて シチリア!シチリア!

ニューシネマ・パラダイスのジュゼッペ・トルナトーレ監督ということで、 久々に映画館で作品を観てきました。公開終了間近ですが感想を。 ネタバレは避けてあります。 あらすじ ジュゼッペ・トルナトーレ監督が、父親の人生をベースに、故郷シチリアへの郷…

月刊美術手帖を読む 〜vol.62 2010年 2月〜

今年もしばらくは美術手帖を読むのが続きそうです。。。 美術手帖 2010年 02月号 [雑誌] 特集は現代アーティスト・ファイル1980−2010年 世界の巨匠44人に加え、チャプターごとにおよそ100人のアーティストを 取りあげたボリュームたっぷりのファイル…

2010年個人的映画(+α)まとめ

今年みた“印象に残った”作品を整理して挙げてみました。 ふるいにかけてみると、何とも言えない“におい”のあるレパートリー。 来年は上映作をたくさんみれたらと思う次第です。 ※一度記事で紹介した作品は、別途リンクを参照して下さい。 アクロス・ザ・ユニ…

月刊美術手帖を読む 〜vol62 2010年 1月〜

美術手帖 2010年 01月号 [雑誌] 特集は日本イラストレーション史4つのパートと11人のイラストレーターのインタビューで60年の歴史を紐解きます。 イラストレーションの歴史には詳しくなかったのですが、興味はあったので、楽しめました。 しかし、60年の歴…

月刊美術手帖を読む 〜vol61 2009年 12月〜

美術手帖 2009年 12月号 [雑誌] 月刊美術手帖を読む 〜vol61 2009年 12月〜 特集はコムデギャルソン常にファッションの最先端を行く、ギャルソンに迫る!ぶっ飛んだファッション、支店ごとに雰囲気がガラッと違うショップ、 DMへの異常なまでのこだわり…… 行…

月刊美術手帖を読む 〜vol61 2009年 11月〜

これから定期的に美術手帖を読み、ザックリその感想を含めて まとめようと思っています。 古い号から順々に読むので、最新号の情報を知りたい方には全く意味がないですが 過去の号を漁る参考にはなるかと思います。 美術手帖 2009年 11月号 [雑誌]美術出版社…

丁寧な伏線の結晶-ギルバートグレイプ-

あらすじ アイオワ州の田舎、エンドラに住むギルバート・グレイプ。 彼は亡き父親に代わり、知的障害を持つ弟と過食症の母を 2人の姉妹と共に一家を支える大黒柱。 年に一度通るキャンピングカーを見送るのが彼の恒例行事だったが、 車が故障し、しばらく滞…