かにみそにっき

作家。美術書などを中心に、本・絵本・映画についてのメモ。

褒め上げ映画批評 ダーティーメリー、クレイジーラリー

ダーティ・メリー クレイジー・ラリー [DVD]

アメリカンニューシネマの臭いが漂う、走って逃げる爆走映画。
レーサーの夢を挫折した男が銃を使わないスマートな強盗を行い、
大金を手にするが、こっそり車に乗り込んでいたラリーにより
逃亡計画は少しづつ狂いだす……



ただ走る。ストーリーなんてあってないようなもの。
コンセプトが似ているバニシングポイントと比べるとやや陽気で、ただ走るだけ、
という内容に軽さを感じますが、あちらが孤独な逃亡だったのに対して、
ダーティーメリー〜は三人の逃亡劇。どことなくロードムービー的で
この軽さこそが売りだと思います。
警察側も個性があり、ヘリコプターを急降下させ車にぶつけるシーンは
CGではないからこその凄みを感じさせます。
そして、衝撃のラスト。ニューシネマ独特の虚無感は癖になりそうです。



何も考えずに楽しめる馬鹿映画は、今日に至っても量産され続けていますが、
この時期に時代が生みだした、それだけではおさまらない何かは
記憶に何かをピン止めしてくれる。そんな気がします。



〜関連作品〜
バニシング・ポイント [Blu-ray]
非常に良く似ていますが、観て損はない傑作です。