かにみそにっき

作家。美術書などを中心に、本・絵本・映画についてのメモ。

絵を描きたい人の為の内面的な技法書。絵画の制作―自己発見の旅

こんなに痒いところに手が届く技法書は始めてでした。
技法書って言うと、道具の扱い方や絵具の上手な表現方法などを思い浮かべますが、
この本は、より作家的視点からもっとマニアックな、でも作家なら誰もが経験する
“あるある”についてつっこまれた、いわば内面的な技法書です。



本書はデッサンとドローイングの違い、そしてドローイングの重要性から始まり、
予定調和にいかない絵を壊す作業の意味
作品の完成と未完成とは?
実際に著者の制作過程や、有名な画家の制作に対する姿勢
など、一般の技法書で大々的に取り扱わないナイーブな点を紐解いています
著者の主観が入ってはいますが、それでも1つの考えとして心に留めておいて損はないです。



なんだか全くの初心者には早い?いやいやそんな事はありません。
絵を描く事に対する誤った先入観から抜け出せますし、
いわゆる下手うま本ほど、全てを極端に取っ払わない本になっています。
一般の技法書と合わせて読めば、後々必ず役に立つこと間違えなしです



※この本で扱っているのはあくまで絵画表現に対してでありまして、
イラストレーション的な視点だとたぶん話が噛み合わないです。
念のため。