かにみそにっき

作家。美術書などを中心に、本・絵本・映画についてのメモ。

禁じられたスナッフを求めて-8mm-



ニコラス“ケイジ”扮する私立“探偵”が依頼人から渡されたある殺人映像(スナッフ)の調査に乗り込むスリラー映画です。
とてもアンダーグラウンドな世界にスポットを当てているので
胸糞悪い!とは思いつつも、色々考える(余地がある)作品です。
が……




以下若干ネタバレを含みます。









話のテンポとしては、捜査は行きつ戻りつではありながら割とスムーズに進みます。
上手い事進みすぎですが、それほど違和感はありません。



順調に手がかりをつかみ、ついにハードコアポルノ作品の市場に潜り込むのですが、
これが人によってはウエッとなるようなリアリティ。実際にこんな世界があるのかわかりませんが、
物語冒頭のスナッフ映像シーンといい、この市場の作り込み方といい、まるで自分まで
踏み入れてはいけない世界に踏み込んでしまった気分に。あげくには、このこの作品そのものが
ヤバい映画なのではないか?
なんて。(主演ニコラスだからそこまで思わないか)




そして物語も佳境に入り、とうとうスナッフを撮った黒幕と対峙するわけですが……
ここから妙に“映画臭くなる”んですよね。





それはどういう事かと言いますと、ドキドキハラハラな黒幕とのやりとりに
急に映画の(それもアクション映画の!)使いふるされたセオリーを駆使し始めるのです。
同じくニコラス主演映画フェイス/オフをみているかのよう。
そしてこの演出により、この映画のあぶなっかしさ、アングラ感がサッと引いていきます。
この部分だけ切り取ってみれば、映画として決して悪くないシーンです。
しかしこの映画に無理矢理組み込んだ事により、今まで積み上げてきたヤバイもの感が一気に崩れてしまいました。




そして散々胸糞悪くした挙句、どうもしっくりこないグッドエンド(一応)。
スナッフなんてものを題材にしている時点で、ある程度、嫌な終わり方になるのは目に見えてます。
それなのに、出来る限り綺麗にしたかった感が否めないです。
(頻繁に家族関係の描写を入れてたから、セブン並のラストを期待してしまったのは
私だけでしょうか?)







とまあ、後半の展開に不満はありますが、結構楽しめました。
良くも悪くも映画の起承転結がしっかりしているのと、テンポの良さが評価のポイントですね。
もう一度見返したいとは思いませんし、続編(2がある!)をみたいとも思いませんが、
スナッフという面白いテーマを扱っているので、一見の価値はあると思います。
もしニコラスの代わりに、無名の俳優を使っていたら一級のカルト映画になっていた気もします。
それが良いか悪いかは別として。



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散々語り草になっているラストは必見。