かにみそにっき

作家。美術書などを中心に、本・絵本・映画についてのメモ。

精一杯の感想が「新感覚」-ロッキーホラーショー-

ロッキーホラーショーを観ました。
カルト映画を語る上ではかかせない、カルト界のゴッドファーザー的な映画らしいのですが
長らく観る機会が無かったのと、久々のカルト映画ということもあり
(変な)期待を胸に鑑賞いたしました。

あらすじ
とあるカップルが車の故障で立ち寄ったのは、ノンセクシャル星から
やってきた宇宙人が主の奇妙な屋敷。
その日は博士である彼の最高傑作、人造人間ロッキーのお披露目会が行われていた……

これは……新感覚です……




まずミュージカルシーン。全編ミュージカル仕立てで作られているのですが、
ミュージカルを馬鹿にしているのか、真剣にふざけているのか
まじめにやって下手なのか、下手を装っているのか全然わからないです。
一言で“滑稽”とか“ぶっ飛んでる”と評価を下せない、何か異質な雰囲気なのです。






次に、安っぽいTVドラマのような演出とカメラワーク。
雷の効果音をはじめとする低予算だからとも思えないし、意図的とも判断できない
ずれたセンスはなんだか体がモゾモゾします
衣装や小道具も変なセンスなのですが、ドクドクしいとか
芸術的とか、ちゃっちいとかそういう枠のいずれにもはめ込めないもどかしさがあります。






そしてタイトルにもなっている、ロッキーの扱い。
登場時には、どこから見つけてきたんだと言いたいような筋肉美でびっくりしたのですが、
なんだか中途半端な扱いで、焦点はどんどんどんどん生みの親の博士の方に。
終わる頃には主役のカップル以上の存在感になり、博士の独壇場
“フランケンシュタイン”は怪物の名ではなく、博士の名前というのは有名な話ですが、
ロッキーホラーショー”は怪物の名なのに、博士の方が馬鹿騒ぎしているんですね……






そしてとってつけたようなストーリー。
もう何が何やら。“あら”すじを書きましたが、元のすじがすでに荒いです。
設定が意味不明だし、急展開が多すぎるし血眼になって深読みしようと
してしまった自分が情けなくなりました。







観終わって感じたのは、スッキリするとかしないとかいう次元を飛び越えた
新しい感覚でした。後味が悪いとか、超展開とか、今までに観てきたカルト映画の
肌触りとは明らかに違う、もはや現代アートに通ずるのでは?と馬鹿な錯覚を起こしそうで、
でも本当に中身なんて何もなかった気がする、異質なものでした。
(なんだか十分毒されてしまった気もしますが。)
これは、確かにジャンルわけするならカルトしかないです……
人に薦めようとは思いませんが、言い様のないこの気持ちは
間違いなく、他のどんな映画でも味わえないとだけ言っておきます。

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