アーティスト症候群を読みました。
現アーティストではなく、五年前までアーティストだったという立場からの
アーティストを名乗りたがる人々を様々な視点から考察している本です。
芸大を卒業し、二十年もアートに携わってきたという経歴を持つ著者。加えて
“女性”からの視点というのがとても新鮮でした。
美術大学の殆どの学科が女性の比率の方が大きいです。でも世に出るアーティストは
男性の方が多い。この謎についてもこの本の中で語っています。
他にも、芸能人アーティストのアーティストたる違和感を分析して、ぶった切ったり
誰でもピカソと何でも鑑定団から読み解く見世物としてのアートや
アートと職人の違い、受験戦争時代からアートを辞めるまでに至るまでの著者の半生も綴られています。
この本を手にするのは大なり小なり「アーティストになりたい」と思う方だと思いますが
最後まで目を通すと、正直げんなりします。お先真っ暗になるかもしれません。
しかし、それでもアーティストになりたいと思えるどうかが重要なのだと思います。
ここまでアート事情を知り、それでもなお諦めきれない人は、いや、そういう人こそが
まさに真のアーティストなのではないでしょうか。
この本はアーティスト志望者に向けた“踏み絵”なのかもしれません。
アーティストという言葉に少しでも憧れを持っている方は、ぜひ読んでみる事をお勧めします。
アーティスト症候群―アートと職人、クリエイターと芸能人 | |
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