一人では生きられないのも芸のうちを読みました。
(非)常識すぎて誰も言わないでいた事にあえてメスを入れた本ですが、
- cancam一人勝ち市場から読める、若い女性のみんなから好かれるメチャモテ思想
から始まり、
- 若者がすぐに会社を辞めてしまう労働への誤解
- 自己追求が先行する社会が歴史的に異常である事実
など、目から鱗、今まで考えもしなかった著者の鋭い視点に驚愕でした。
(非)常識とされてきたものを、自分がいかに軽視していたかが痛いほどわかりました。
一人では生きられないのも芸のうち というタイトル通り
共生、社会、がこの本のメインテーマになっています。
特に興味深かったのは不意にやる気がなくなってしまう若者の話。
東大生の3割近くが将来ニートかフリーターになると思っているというアンケート結果から
今の若者は、義務である労働を創造的な自己表現の場と信じてしまい
義務であるが故に達成感を容易に得られるはずの仕事を自ら茨の道にして
それに耐えきれず、ニートやフリーターという結末に到ってしまう、という筆者の考えは
なるほどなあと納得してしまいました。
ちょっと美大生的な視点でこの考えを拝借しますと……
美大を出て、働きながら合間を縫って作家活動を行うというのは、
実は労働と創作の違いをはっきり理解し、割り切って生きているということですし、
美大から作家を諦め、一般企業に就職というのも
「何のために美大に入ったんだ」と思いたくなりますが、
創造の苦しさを十分に理解した上での選択なら
美大に通った意義はきちんとあるのかもしれません。
美大生である自分ですら、色々と不安や疑問がある卒業後の生き方に
前向きに向き合え、希望がみえた……とまではさすがにいきませんが
新しい視点から考えられるよいきっかけになったと思います。
ひとりでは生きられないのも芸のうち
posted with AZlink at 2010.6.19
おすすめ度の平均:
他人の心を埋めることによって。刺激的な議論
つっこみどころ満載です。
あまりに鋭い切り口に、ケラケラ笑ってしまいます
鋭い視点